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◇不動産広告の相談事例(表示規約)

●法律上の利用の制限や物理的な欠陥(瑕疵)がある物件を表示する場合の注意点について(特定事項の明示義務)

 表示規約第13条は、「一般消費者が通常予期することができない物件の地勢、形質、立地、環境等に関する事項又は取引の相手方に著しく不利な取引条件であって、規則で定める事項については、それぞれその定めるところにより、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明りょうに表示しなければならない」と定め、施行規則第9条で細かく規定し、それぞれ明示義務を課しています(全部で16の事項を定めていますが、ここでは主なものを紹介しています)。

  1. 市街化調整区域に所在する物件
  2. 建物の再建築、もしくは建築することができない物件
  3. 路地状部分のみで道路に接する土地
  4. 道路とみなされる部分(セットバック)を含む土地
  5. 古家が存在する土地
  6. 土地の全部又は一部が高圧線下にある物件
  7. 傾斜地を含む土地
  8. 土地の有効な利用が阻害される著しい不整形地や著しく特異な地勢の土地
  9. 都市計画道路の区域内にかかる土地
(1) 都市計画法第7条に規定する市街化調整区域に所在する土地(同法第29条に規定する開発許可を受けているもの及び都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第36条第1項第3号ロ又はハに該当するものを除く。)については、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と16ポイント以上の文字で明示すること。ただし、新聞・雑誌広告における文字の大きさについては、この限りでない。(規則第9条第1号)
 都市計画法第7条に規定する市街化調整区域に所在する土地については、同法第29条、第43条により、原則として、開発行為及び建物の建築が禁止されています。
 したがって、このような土地については「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と16ポイント(1辺の長さが約5.6mm。1ポイント活字の一辺は0.3514mmの大きさの文字で表示しなければならないものとされています。ただし、新聞案内広告や雑誌雑報広告等においては、広告スペースが限られていたり、使用できる文字の大きさが制限されていたりすることが多いこと、限られたスペースの中で表示されるため、16ポイント未満の大きさの文字で表示しても必ずしも見にくいとはいえないので、16ポイント未満の大きさの文字で表示しても差し支えないこととされています。
 また、都市計画法施行令第36条第1項第3号ロ又はハに該当するものは、都市計画法第43条(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)第1項の建築許可を受けて住宅等の建物の建築が可能であるため、本号の明示義務はありません。
 なお、しばしば「現在は宅地の造成及び建物の建築はできません」等と表示している例が見受けられますが、この表示は、近い将来において建物の建築が可能となるものであると誤認されるおそれのある表示に該当すると考えられます。
(2) 建築基準法第42条に規定する道路に2メートル以上接していない土地については、「再建築不可」又は「建築不可」と明示すること。ただし、同法第43条第1項ただし書の許可を受けることができることとなる場合において、その旨を表示するときは、この限りでない。(規則第9条第2号)
 建築物の敷地は、建築基準法で規定する道路に2m以上接していなければならず(建築基準法第43条)、この要件を満たさない敷地上に建築物を建築しようとしても原則として、同法第6条第1項の建築確認を受けることができないため、同条第6項の規定により建物等の建築ができません。
 このような土地については「建築不可」と、また、このような土地に建っている既存不適格建築物である中古住宅の取引に関する広告においては「再建築不可」と表示しなければなりません。なお、「不適合接道」と記載しているものがありますが、これは本号の規定に適合しておらず、不当な表示としり扱われます。
 ただし、同法43条1項ただし書の許可(その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの)を受けることができることとなる場合において、その旨及びその根拠を表示するときは、「建築不可」又は「再建築不可」と表示する必要はありません。この場合の表示例は次のとおりです。
  [表示例1]
この物件の敷地は幅1.5mの河川を挟んで道路に面していますが、間口2m橋により道路に有効に接続され、かつ、橋の架設工事に対する河川管理者の許可を受けていますので、専用住宅の建築が可能です。
[表示例2]
この物件の敷地が間口6mで接する道は建築基準法上の道路ではありませんが、[1]この道は4mの幅員があり、かつ、道路に有効に接続していること、[2]将来にわたって幅員4mの以上の道を確保することについて、道の部分の所有権者等の全員の承諾が得られていること、[3]この道は公衆用道路として登記されていることから、地上2階以下で、かつ、地階は1階以下とする専用住宅又は二戸長屋の建築が可能です。
 
(3) 路地状部分のみで道路に接する土地であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占めるときは、路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示すること。(規則第9条第4号)
 建築物の建築ができる場合であっても、路地状部分のみで道路に接する土地(敷地延長物件)であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占めるときは、その旨及びその面積を明示しなければなりません。
  [表示例]
敷地面積/150m2(路地状部分50m2(約33%)含む)
(4) 建築基準法第42条第2項の規定により道路とみなされる部分(セットバックを要する部分)を含む土地については、その旨を表示し、セットバックを要する部分の面積がおおむね10パーセント以上である場合は、併せてその面積を明示すること。(規則第9条第5号)
 建築基準法42条2項の規定により道路とみなされる部分(いわゆるセットバックを要する部分)を含む土地については、その旨を表示し、セットバックを要する部分の面積がおおむね10パーセント以上である場合は、その面積を表示しなければなりません。
  [表示例]
敷地面積/165m2(ただし、再建築時には、約15%(約25m2)のセットバックを要す)
(5) 土地取引において、当該土地上に古家、廃屋等が存在するときは、その旨を明示すること。(規則第9条第6号)
 廃屋など住宅として使用することができない建物がある場合はもちろん、住宅として使用できる中古住宅のある土地について、あえて「土地」として広告表示する場合も、現況に建物がある旨(古家がある旨)を表示しなければなりません。
(6) 土地の全部又は一部が高圧電線路下にあるときは、その旨及びそのおおむねの面積を表示すること。
この場合において、建物その他の工作物の建築が禁止されていますときは、併せてその旨を明示すること。(規則第9条第8号)
 特別別高圧線等の高圧線を架設する場合、電力会社は線下の土地について、送電の支障となるような工作物等の設置の禁止等を目的とする地役権を設定するのが通例ですから、その制限の内容は登記簿により確認することができます。
  【表示例1】
敷地面積/○○m2(ただし、約○○%(約○○m2)は高圧線下)
【表示例2】
特別高圧線下につき建物等の建築不可
(7) 傾斜地を含む土地であって、傾斜地の割合が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占める場合(マンション及び別荘地等を除く。)は、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を表示すること。ただし、傾斜地の割合が30パーセント以上を占めるか否かにかかわらず、傾斜地を含むことにより、当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く。)は、その旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること。(規則第9条第10号)
 傾斜地を含む土地で次の[1]又は[2]に該当するものについては、傾斜地を含む旨及びその面積を明りょうに表示しなければなりません。ここでいう傾斜地には擁壁、法地も含まれます。どの程度の傾斜角の土地を傾斜地というかについては規定がありませんが、建物の建築に際して特別の擁壁工事が必要な場合又は鉄筋コンクリート造り等堅固な構造の建物の建築しか認められない場合のように、現状では土地の全体的な有効利用が阻害されると認められる程度のものをいいます。
[1] 傾斜地の割合がおおむね30パーセント以上の場合。ただし、分譲マンション及び別荘地等については表示する必要はありません。
[2] 傾斜地の割合が30パーセントを占めるか否かにかかわらず、傾斜地を含むことにより土地の有効な利用が著しく阻害される場合。ただし、分譲マンションについては、地勢を考慮して建物を建築した上で購入者に引き渡されるので、特に表示する必要はありません。
(8) 土地の有効な利用が阻害される著しい不整形画地及び区画の地盤面が2段以上に分かれている等の著しく特異な地勢の土地については、その旨を明示すること。(規則第9条第11号)
 「著しい不整形画地」とは、一般消費者において、不整形画地である旨の記載がなければ、土地の有効な利用が阻害されない少なくともほぼ整形の画地であると誤認する一方、不整形画地である記載があれば、ほぼ整形の画地であると誤認して誘引されることはなかったであろうとみられる程度のものをいいます。
  【表示例1】
売地 敷地面積/280m2(ただし、100m2の平坦地部分とこれより地盤面が2m低い傾斜地に分かれた地勢)
【表示例2】
中古住宅 敷地面積/160m2(地形:ほぼ二等辺三角形)
(9) 道路法(昭和27年法律第170号)第18条第1項の規定により道路区域が決定され、又は都市計画法第20条第1項の告示が行われた都市計画道路等の区域に係る土地についてはその旨を明示すること。(規則第9条第13号)
 道路法により道路区域が決定されると、その後道路の供用が開始されるまでの間は、道路管理者が当該区域内にある土地について権原(所有権、地上権等)を取得する前においても、道路管理者の許可を受けなければ、何人も当該土地の形質を変更・工作物の新築・改築・増築・大修繕、又は物件を附加増量してはならないことになっています(道路法91条)。また、都市計画施設として定められた道路の区域内で建物を建築しようとするときは、都道府県知事(政令指定都市では市長)の許可を受けなければ原則として建築物の建築ができません(都市計画法53条)。
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