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◆公取協通信第258号(平成27年9月号)

公正競争規約研修会

 当協議会は、会員団体等が主催する公正競争規約研修会に講師として職員を派遣しています。8月度は、次のとおり5会場・327名を対象として実施されました。

 
開催日 主催 対象者 参加者数 開催地
8月3日 公益社団法人神奈川県宅地建物取引業協会 会員事業者 24名 横浜市
8月6日 公益社団法人全日本不動産協会埼玉県本部 新入会員事業者 29名 さいたま市
8月7日 東海不動産公正取引協議会 賛助会員 68名 名古屋市
8月7日 三井不動産リアルティ株式会社 社員 46名 千代田区
8月22日 神奈川県
「知っておきたい不動産取引の知識・説明会」
一般消費者 160名 横浜市

不動産広告の相談事例

 会員事業者、広告会社等から、不動産広告や景品の提供に関し寄せられた相談事例等のうちから、9例を紹介いたします。

【Q1】取引態様の表示について

 自社のホームページを制作中ですが、物件概要の「取引態様」を表示するに当たり、専属専任媒介物件を「専属」、専任媒介物件を「専任」、一般媒介物件を「一般」と表示して、なるべく文字数を少なくしたいと考えていますが、問題ないでしょうか?

⇒ 表示規約施行規則第10条第1号では、「取引態様は、「売主」、「貸主」、「代理」又は「媒介(仲介)」の別をこれらの用語を用いて表示すること」と規定しておりますので、ご質問の表示では、取引態様を表示したことにはなりません。「媒介」又は「仲介」と記載してください。
 なお、表示規約では、専属専任媒介や専任媒介、一般媒介の別を明らかにする必要はありませんが、売主との売却依頼関係を表示したいのであれば、「媒介(専属)」、「媒介(専任)」、「媒介(一般)」又は「専属専任媒介」、「専任媒介」、「一般媒介」等と表示することは問題ありません(「媒介」を「仲介」にしても結構です。)。

【Q2】企業広告について

 新しいコンセプトに基づいて企画・開発する新築分譲マンションについて新聞全面広告を行う予定です。表示内容は、そのコンセプトを記載し、物件名称や所在地を記載するほか、この物件の完成予想図をメインに表示したいと考えています。当社は、この広告を「企業広告」ととらえ、必要な表示事項である物件概要を省略できると考えていますが、問題ないでしょうか?

⇒ 企業広告とは、企業の存在や理念等を示すことにより、間接的に商品の購入を促進しようとするものですが、その場合に、特定物件の情報が示されたときには、常に必要な表示事項の記載が必要となると、必要以上に企業の広告活動の自由を制限することになることから、表示規約第12条(必要な表示事項の適用除外)では、同規約第8条の必要な表示事項の規制に反しないものとして、4類型([1]物件の名称募集広告、[2]展示会等の催事開催案内広告、[3]住宅友の会会員募集広告、[4]企業広告)に分け、いずれかの類型に該当する場合に限り、必要な表示事項の適用を除外することとしています。
 このうち、企業広告については、「企業広告の構成要素として現に取引している物件又は将来取引しようとする物件の広告表示であって、『その物件の種別』、『販売中であるか販売予定であるかの別』及び『最寄駅』のみを表示するもの(当該広告の主旨が特定の物件の予告その他取引に関する広告表示と認められるものを除く。)」と規定し、この要件に該当しない場合は通常の物件広告とみなされます。
 ご質問の場合は、貴社の新しいコンセプトを記載するとのことではありますが、物件の名称や所在地に加えて完成予想図をメインにする表示内容であり、特定の物件の内容に終始しているといえますので、企業広告とはいえず、必要な表示事項を充たしていない物件広告と認められます。
 したがいまして、ご質問の広告は、必要な表示事項をすべて記載する必要があります。
 なお、表示規約第12条の規定は、必要な表示事項の適用が除外される規定であって、同規約第5条の広告表示の開始時期の制限の規定までも適用が除外されるものではありませんので、ご注意ください。

【Q3】マンションの階数表示について

 傾斜地に建築中の新築分譲マンションの広告制作を依頼されました。このマンションは、建築確認では「地下1階地上4階建て」となっていますが、道路側から見ると5階建てに見えます。また、エレベーターの表示も地下1階が「1F」、4階が「5F」となっており、住戸番号も地下1階が「101」から、4階が「501」から設定されていますので、これを「地上5階建て」と表示したいと考えておりますが、問題ないでしょうか?

⇒ 結論から申し上げますと、ご質問の場合は、あくまでも建築基準法上は「地下1階地上4階建て」ですので、「地上5階建て」と表示することはできません。
 ただし、外見上は5階建てにみえるとのことですので、建築基準法上の取扱いを併せて表示する場合に限り、「5階建て(ただし、建築基準法上は地下1階地上4階建て)」等と表示することは可能ではありますが、その場合において、大きく「5階建て」等と表示することはできませんので、ご注意ください。

【Q4】土地代金の割引表示について

 当社は、不動産業と建設業を営んでいますが、当社所有の土地(建築条件なし)を販売するに当たり、土地購入者が、さらに当社と建物の建築請負契約を締結した場合には、土地の代金を1割引にして販売したいと考えております。その旨を表示しても問題ないでしょうか?

⇒ 所有している土地を販売する当たり、建物の建築請負契約も締結した者に対し、土地の代金を割り引くという二重価格表示を行うことについては、表示規約施行規則第14条(割引表示)で規定する「一定の条件に適合する取引の相手方に対し、販売価格、賃料等から一定率又は一定額の割引をする場合において、当該条件を明示して、割引率、割引額又は割引後の額を表示する場合」に該当するものとして取り扱われますから、この企画を実施しても問題ありません(表示することも可)。

【Q5】建物内の施設表示について

 医療施設や保育施設を建物内に設置する新築分譲マンションの販売を予定しています。このため、「医療・保育施設が充実」等と強調して表示したいと考えています。ただし、これらの施設は、いずれも当社とは別の法人が運営することになりますので、将来、運営者側の経営上の問題等で施設の維持ができなくなる可能性があります。重要事項説明書には、その旨を記載し説明しますが、広告においてもその旨を記載すべきでしょうか?

⇒ 「医療・保育施設が充実」等と表示すること自体は問題はないと考えられますが、ご質問にあるとおり、医療施設や保育施設が、運営者側の都合により将来維持することができなくなる(閉鎖等)可能性もあります。仮に閉鎖された場合には、不当表示に該当するおそれがありますから、広告においても、「医療施設及び保育施設については、将来にわたって利用できることを保証するものではありません。」等と表示すべきでしょう。

【Q6】媒介業者が勝手に建築条件を付すことについて

 当社は、土地の所有者(個人)から、その土地の売却依頼(媒介)を受けています。当社は、建設業の許可を受けているため、この土地を依頼者の承諾を得ずに「建築条件付土地」として広告したいと考えておりますが、注意することはありますか?

⇒ 物件に建築条件などの条件を付して取引するか否かを決定することができるのは、売主であって、媒介業者ではありません、貴社が勝手に建築条件を付して広告・販売することはできません。
 建築条件付土地として広告するためには、売主に建築条件の内容を説明し、理解させた上で、同意を得た後に行う必要があります。
 なお、建築条件を付けずに、「ご希望により、当社で建物の建築を承ります。」等と記載することは問題ありませんが、この場合には、売主にその旨を伝えておいた方がいいでしょう。

【Q7】会員限定の物件広告について

 不動産業者のホームページの中に、次の表示例のように「会員限定 未公開物件満載 詳細はこちら」等と題して物件概要の一部のみ表示し、連絡先等の個人情報を入力して会員登録をしないと詳細な物件概要が見れないものがありますが、このような広告は問題ないのでしょうか?

  【表示例】
  会員限定!! 未公開物件満載!
   ◆新築住宅 ○○市 ○○駅歩3分 会員登録
   ◆中古住宅 □□市 ○○駅歩5分 会員登録

会員登録 をクリックすると会員登録の手続きを要求され、登録しないとすべての物件概要を見ることができない。

⇒ 表示規約第8条(必要な表示事項)において、規則で定める媒体(インターネット広告等の4区分)を用いて物件広告を行うときは、必要な表示事項(物件概要)を「見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明りょうに表示しなければならない。」と規定しています。
 このホームページは、物件情報の一部だけを掲載し、会員登録をしないと詳細な物件概要を見ることができないというものですから、物件概要を記載したとはいえず、表示規約第8条の規定に違反するものです。
 会員登録者に限定して物件情報を提供したい場合は、物件広告と判断されないよう物件概要などは一切記載せずに、例えば「会員登録をしていただいた方のみに提供できる物件情報もございます。興味のある方は会員登録手続きを行ってください。」等と記載した上で会員手続きを行った方にのみ物件情報を提供することは問題ありません。

【Q8】景品の価額の算定基準について

 売主として販売している新築分譲住宅(販売戸数10戸)の購入者全員に家具をプレゼントしたいと考えています。景品規約では、売主が総付景品として提供できる景品類の限度額は、取引価額(この場合は、物件価格)の10%又は100万円のいずれか低い額までであることは承知していますが、たまたま市場価格120万円相当の家具を90万円で仕入れることができましたので、それをプレゼントしたいと考えております。問題ないでしょうか?

⇒ 景品規約施行規則第7条では、景品類の価額の算定基準として、「景品類の価額の算定は、景品類の提供に係る相手方がそれを通常購入する場合の価格により行う。」と規定しています。
 つまり、景品類の価額は、一般消費者が通常購入する場合の価格(いわゆる市場価格)により算定することになりますので、貴社が家具を90万円で仕入れることができたとしても、その家具の市場価格は120万円ですから、120万円の景品類を提供したことになり、ご質問の企画は景品規約に違反することになります。
 ちなみに、同様の景品類が市販されていない場合は、類似品の市場価格等を勘案して算定することになります。
 また、景品類の価額については、消費税額を含んだものとなりますので、ご注意ください。

【Q9】懸賞景品と総付景品を提供する場合の景品の上限額について

 不動産フェアの開催期間中にフェア会場への来場者や期間内に当社が売主として販売しているマンションや一戸建て(1,500万円から7,000万円)の契約者に次の方法で景品を提供したいと考えていますが、問題ないでしょうか?

 [1]まず、来場者の中から抽選で20名に1万円から10万円の家電製品を提供する。
 [2]さらに、来場の上、期間内に契約に至った場合には、もれなく100万円分の商品券や旅行券を提供する。

⇒ 先ず、景品類を抽選など懸賞の方法で提供する場合(懸賞景品)の上限額は、取引価額の20倍または10万円のいずれか低い額までで、提供できる景品類の総額は取引予定総額の2%以内とされていますので、[1]の企画は問題ありません(景品規約第3条第1項第1号)。
 また、[2]の企画についても、景品類を契約者全員に提供する場合(総付景品)の上限額は、取引価額の10%または100万円のいずれか低い額までとなっており、「取引価額」とは、事業者自らが売主の場合は、不動産の価額(税込)になりますので、物件価格が1,000万円以上であれば100万円までの景品類を提供できますから、これも問題ありません(景品規約第3条第1項第2号)。
 今回の企画である「懸賞景品」と「総付景品」を併用する場合の景品類の上限額については、規則第7条第2項において、「懸賞により提供するものと懸賞によらないで提供するものとを区別して」算定すると規定していますから、それぞれの上限額まで提供できることになります。

 

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