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◆公取協通信第270号(平成28年9月号)

8月の業務概況

○会議等

■8月5日(金) 一般社団法人不動産流通経営協会広告マニュアルワーキング

 同協会会議室(港区)において、午後3時から、標記会議が開催され、当協議会から齊藤事務局長が出席しました。

  会議では、「FRKインターネット広告マニュアル制作案」及び「各社が抱えている問題点等」について意見交換が行われました。

○公正競争規約指導員養成講座

 会員団体に、その自主規制担当部門の役員等を公正競争規約指導員として養成するため、随時、本講座の開催を依頼しています。

 8月度は、次の会員団体に開講していただき、これに講師として事務局職員を派遣しました。受講された方には、後日「公正競争規約指導員証」を発行します。

 
開催日 主催 対象者 参加者数 開催地
8月3日 一般社団法人長野県宅地建物取引業協会 役員 34名 長野市
8月23日 公益社団法人神奈川県宅地建物取引業協会 役員 61名 横浜市

公正競争規約研修会

 当協議会は、会員団体等が主催する公正競争規約研修会に講師として職員を派遣しています。8月度は、次のとおり4会場・166名を対象として実施されました。

 
開催日 主催 対象者 参加者数 開催地
8月4日 公益社団法人全日本不動産協会埼玉県本部 新入会員事業者 36名 さいたま市
8月4日 公益社団法人全日本不動産協会東京都本部 新入会員事業者 27名 千代田区
8月23日 東海不動産公正取引協議会 役職員及び賛助会員 79名 名古屋市
8月23日 小田急不動産株式会社 社員 24名 川崎市

不動産広告の相談事例

 会員事業者、広告会社等から、不動産広告や景品の提供に関し寄せられた相談事例等のうちから、7例を紹介いたします。

【Q1】二重価格表示について

 当社は、売主X社から依頼(代理)を受けて新築分譲住宅を販売することになりました。
 この新築分譲住宅は、これまで売主X社からY社が依頼を受けて4か月間にわたり広告主として広告し販売していたものです。
 当社が広告主として広告するに当たり、売主X社と協議し、価格を見直して値下げすることになりました。
 そこで、当社はY社が広告していた時点の価格(旧価格)を比較対照価格とする二重価格表示を行いたいと考えていますが、広告主が変更になっても二重価格表示をすることは可能でしょうか。

⇒ 広告主がY社から貴社に変更になったとしても、本物件の売主は変更されていませんので、下記の「【注】過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示」の規定に適合するものであれば、二重価格表示をすることができます。
 また、貴社がこの物件を前の売主(X社)から売れ残った住戸を一括購入し、これを販売するに当たり、X社の販売価格から値下げをして広告をする際に、X社の販売価格と値下げした価格を併記する二重価格表示をしたいということも考えられますが、この場合も二重価格表示ができる下記の「【注】過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示」の規定に適合するものであれば行うことができます。
 ただし、この場合には、新しい売主が過去に旧価格で販売していた実績がありませんから、広告には、前の売主(X社)から買い取って販売するものである旨を併せて表示する必要があります。

 
【注】表示規約施行規則
(過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示)
第13条 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示は、次に掲げる要件のすべてに適合し、かつ、実際に、当該期間、当該価格で販売していたことを資料により客観的に明らかにすることができる場合を除き、規約第20条において禁止する不当な二重価格表示に該当するものとする。
(1) 過去の販売価格の公表時期及び値下げの時期を明示したものであること。
(2) 比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの3か月以上前に公表された価格であって、かつ、値下げ前3か月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること。
(3) 値下げの時期から6か月以内に表示するものであること。ただし、6か月以内であっても災害その他の事情により物件の価値に同一性が認められなくなった場合には、同一性が認められる時点までに限る。
(4) 土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾートクラブ会員権を除く。)について行う表示であること。
【Q2】誤った建物面積を表示した場合の対処について

 新築住宅の新聞折込チラシを作成し、新聞の折込業者に配布依頼しましたが、その後表示内容をチェックしたところ、建物面積を「108.25m2」と記載すべきところを「180.25m2」と表示していることが判明し、すぐに、折込業者に配布中止を指示したのですが、回収不可能と言われました。
 このような場合、どのように対処すればよいでしょうか。

⇒ 今回の広告では、実際より広い面積を記載していますので、不当表示に該当し、いかなる対応をとったとしても、規約違反の責めを免れないのが原則です。
しかし、自ら「訂正広告」(表示規約第24条第1項参照)を行う等、消費者の誤認を排除する努力をした場合には、当協議会が規約違反に対する措置を講ずる際に、その努力が反映される場合がありますので、速やかに訂正広告を行うことをお勧めします。
なお、訂正広告を行う場合には、原則として、違反広告と同一媒体・同一地域で行う必要がありますが、同一媒体・同一地域で行うことができない場合には、現地又は販売事務所等に訂正内容をポスター等で掲示する、顧客からの問い合わせ等に対して十分説明する、自社ホームページにおいても訂正広告を実施する等、可能な限り消費者の誤認を排除するよう努めてください。
また、訂正広告を行う際は、事前に当協議会にご相談ください。

 
【表示規約】
(表示の修正・取りやめ及び取引の変更等の公示)
第24条第1項 事業者は、継続して物件に関する広告その他の表示をする場合において、当該広告その他の表示内容に変更があったときは、速やかに修正し、又はその表示を取りやめなければならない。
【Q3】ショッピングセンター内のラックに置くチラシについて

 新築分譲マンションを販売するに当たり、近隣に所在するショッピングセンター内のラックにチラシを置きたいと考えております。
 その場合、当該マンションのアピールしたい事項だけを記載したいと考えておりますが、問題はないでしょうか。

⇒ ご質問の広告は、表示規約第8条で規定する「必要な表示事項」の規制を受ける媒体ではありませんので、必要な表示事項(いわゆる物件概要)を記載する義務はありませんが、表示規約第8条以外の規定は適用されますので注意する必要があります。
 当該マンションのアピールしたい項目だけを記載したいとのことですが、例えば、最低価格のみを表示したり、「ショッピングセンター近し」等とのみしか表示していないとすると、表示規約第15条の表示基準に違反するものとなりますので、ご注意ください。
 また、宅地建物取引業法第34条に規定する、いわゆる「取引態様の明示義務」の規制は受けますので、取引態様を記載しないと宅地建物取引業法に違反しますので、ご注意ください。

【Q4】表示規約の適用について

 電車内の中吊り広告や駅貼りポスター、街頭で配布されるポケットティッシュや団扇などには、いわゆる物件概要が書かれていないものを目にしますが、これらの媒体には表示規約の適用はないのでしょうか。

⇒ ご質問の媒体は、必要な表示事項(第8条)の規定の適用がありませんので、どのような事項を表示するかは、広告主の自由となりますが、必要な表示事項(第8条)の規定を適用しないというだけであって、広告開始時期の制限(第5条)、特定事項の明示義務(第13条)、表示基準(第15条)、不当表示の禁止(第23条)等、第8条以外の規定は全て適用されます。
 したがって、新築分譲マンションなどの広告で「○○○○万円〜」等と最低価格のみを表示している例がありますが、最高価格及び最多価格帯(販売戸数が10戸以上の場合)が記載されていませんので、表示基準(第15条)の規定に違反する表示となります。
 必要な表示事項の規制を受けない媒体であっても、表示基準の規定は適用される訳ですから、これら規定を守る必要があるということですので、この点に留意するようにしてください。
 なお、車内の中吊り広告や駅貼りポスター等に価格を記載したうえで、分譲マンション等の分譲物件を広告する場合、一定期間継続して掲出されるため、例えば、最低価格の物件が契約済みとなった以降もそのまま継続して掲出していますと、契約済みで取引できない物件を広告している「おとり広告」となりますので、このような場合には、速やかに当該広告を撤去するか、もしくは表示の修正をする必要があります。したがって、このような媒体については、物件の販売期間と掲出期間とを考慮して利用したほうがよいでしょう。

【Q5】申込み済み物件を広告に掲載することの是非について

 当社は、賃貸住宅の仲介を主たる業務としていますが、インターネット不動産情報サイトに掲載の賃貸マンションについて、顧客から入居申込みを受けております。
 家主から「申込みは受けていても、キャンセルになり契約に至らない場合もあるので、引き続き募集広告を掲載して欲しい。」と言われています。
 このまま広告を続けても問題ないでしょうか。

⇒ 顧客からの申込みを受けた物件は、実務上、契約を締結する前の段階ですから、家主が言うようにキャンセルとなり契約に至らない可能性はあります。しかし、既に申込みを受けているのに、取引が可能であるかのように広告するのは、顧客を不当に誘引することになるだけでなく、順調にいけばこの物件は、既に申込みをしている者が契約を締結することになるため、取引することができないことになります。
 つまり、このまま広告を継続しますと、実際には取引することができない物件を広告していることになりますから、「おとり広告」に該当します。
 キャンセルになる可能性があるから、申込みがあっても広告を掲載し続けるという考えではなく、申込みがあった物件については、その時点で「契約済みとなった」ものとみなして取り扱う必要があります。
 したがって、申込みがあった段階で当該物件の広告を削除する必要があります。
 ちなみに、分譲マンションの広告などで時折、「第1期完売御礼」等と記載した広告を目にすることがありますが、「完売」した物件の中に申込みの段階の物件があったとしても販売済みとみなして「完売」と記載することができることとしています。

【Q6】自殺があった物件の表示について

 当社は、売主から中古マンションの売却依頼を受けましたが、当該物件は、約3年前に自殺があった物件であることが分かりました。
 このため、購入者とのトラブルを避けるために、その旨を広告に記載した方がよいと思うのですが、規約上、記載する必要があるのでしょうか。
 また、記載する必要があるとした場合、どのように記載すればよいのでしょうか。

⇒ ご質問のようないわゆる「事故物件」については、表示規約第8条の「必要な表示事項」及び第13条の「特定事項の明示義務」の両規定において表示することを義務づけてはいませんので、広告に記載していなくても規約違反として取り扱ってはいません。
 ただし、購入者がそのことを知らないで契約し、その後、知ったような場合にはトラブルになる可能性が極めて高いと考えられます。
 宅地建物取引業法では、このような物件(自殺や火事等)については、消費者が当該物件を購入するか否かを判断する際に、重要な事項であるとして、同法第47条(業務に関する禁止事項)第1号において、告知義務があると判断されることになると考えられます。
 なお、どのようなケースが告知事項に該当するかどうかは、判断が難しい場合がありますので、事前に宅地建物取引業法所管課に確認しておいた方がよいでしょう。
 実際の広告においては「告知事項有り」、「心理的瑕疵有り」等と表示している例が見受けられますが、これは、事業者が買主とのトラブルを未然に回避するために自主的に表示しているものであり、ご質問の事実について、仮に広告には記載しなかったとしても、契約前の早い段階で購入予定者に説明しておくことが望ましいものと考えられます。

 
【参考】宅地建物取引業法
(業務に関する禁止事項)
第47条 宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 宅地若しくは建物の売買、交換若しくは賃借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
イ 第35条第1項各号又は第2項各号に掲げる事項
ロ 第35条の2各号に掲げる事項
ハ 第37条第1項各号又は第2項各号(第1号を除く。)に掲げる事項
ニ イからハまでに掲げるもののほか、宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であつて、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの
【Q7】新築住宅と自動車とのセット販売について

 売主として新築住宅を販売するに当たり、自動車と組み合わせて「新築住宅 5,000万円、自動車(300万円)をセット価格 5,100万円で販売!」と表示して販売したいと考えておりますが、問題はないでしょうか。

⇒ ご質問の販売方法は、セット販売と呼ばれるものですが、セット販売の取扱いについては、不当景品類及び不当表示防止法(略称:景品表示法)の「景品類等の指定の告示の運用基準(昭和52年4月1日事務局長通達第7号。最終変更 平成26年12月1日 消費者庁長官決定)」第4項の「取引に附随して」(【参考】参照)において、「商品又は役務を二つ以上組み合わせて販売していることが明らかな場合」は、取引附随性はないものとされ(セット価格がそれぞれの合計額よりも安くなっても値引きと解する。)、原則として、景品類の提供には該当しないものとされています。
 したがって、ご質問の販売方法は、問題はなく、実施することが可能です。
 ただし、「提供の相手方を懸賞の方法により特定する場合」や「相手方に景品類の提供であると認識される表現又は方法で提供する場合」(景品規約施行規則第4条)は、景品類の提供として取り扱われますので、例えば「ビッグチャンス!今なら、新築住宅5,000万円と自動車300万円をセットで5,000万円!」、「新築住宅を購入していただいた方には、自動車(300万円)をプレゼント!」等と表示する場合は、景品類の提供とみなされますので、ご注意ください。

 
【参考】景品類等の指定の告示の運用基準
4 「取引に附随して」について
(1)〜(4) 略
(5) ある取引において二つ以上の商品又は役務が提供される場合であっても、次のアからウまでのいずれかに該当するときは、原則として、「取引に附随」する提供に当たらない。ただし、懸賞により提供する場合(例 「○○が当たる」)及び取引の相手方に景品類であると認識されるような仕方で提供するような場合(例 「○○プレゼント」、「××を買えば○○が付いてくる」、「○○無料」)は、「取引に附随」する提供に当たる。
ア 商品又は役務を二つ以上組み合わせて販売していることが明らかな場合(例 「ハンバーガーとドリンクをセットで○○円」、「ゴルフのクラブ、バッグ等の用品一式で○○円」、美容院の「カット(シャンプー、ブロー付き)○○円」、しょう油とサラダ油の詰め合わせ)(以下略)

 

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