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「建築条件付土地」とは、自己の所有する土地を販売するに当たり、自己と土地購入者との間において、自己又は自己の指定する建設業を営む者(建設業者)との間に、当該土地に建築する建物について一定期間内に建築請負契約が成立することを条件として売買される土地をいいます。建築条件付土地は、建築確認を受けていないため、土地付住宅として取引することはできません。
契約は、土地については「売買契約」、建物については「建築請負契約」を締結することになりますので、契約は2本となります。つまり、建物は顧客の注文を受けて請負契約を結び建築することになり(フリープラン、オーダー建築)、建物の間取りなど内容の決定権は土地購入者にあるわけです。
経済効果的には土地・建物を取引する結果となるという意味で、建売住宅の青田売りと建築条件付売地とはよく混同されますが、似て非なるものなのです。
また、事業者において、よく「売建て住宅の販売をしている。」との言い方がありますが、これは建築確認を受けず、販売してから建築するというもので、単なる「建売住宅の違法な青田売り」を言い換えているにすぎません。建売住宅の青田売りは、建築基準法第6条の確認(建築確認)を受けて土地付新築住宅として取引するものであって、契約は「売買契約」1本となりますので、いわば既製品の販売ということになります。つまり、建物の間取りなど内容は売主がすでに決定しているわけです。
なお、建築条件付土地は、取引の対象が土地ですから、広告に際しては建売住宅の取引であると誤認されないようにする必要があります。建物の完成予想図や間取り図を大きく掲載したり、土地と建物の総額を大きな文字で表示することなどは、広告表示の開始時期の制限に違反するとともに建売住宅と誤認される不当表示に該当するおそれがありますので注意が必要です。
表示例は以下のとおりです。
従来、「優先販売」といわれているものには、次のようなものがあります。
一般に、優先とは、「他のものより先に扱うこと」をいいますから、優先販売とは、特定の者が他の消費者よりも先んじて物件を購入することができる販売方法ということができます。
この意味で「優先販売」といえるものは、前記の1.及び2.の場合だけで、3.の場合は「優先販売」には当たらないと考えられます。
つまり、1.は特定の不動産会社の供給する物件に関心がある一般消費者が友の会会員となっているのが一般的で、その会員に対して、特定の物件を優先的に購入申し込みができるというもので、その意味で「優先販売」ということができます。
したがって、この「優先販売」後に一般の人に対して販売情報を告知する場合には、特定の物件の販売広告において「会員優先販売」という文言が使用されることはあり得ません。
なお、この場合には、一般の分譲広告(予告広告を含む。)において、例えば、「総戸数/100戸(○○友の会会員優先販売済み住戸30戸含む。)、今回販売戸数70戸」等と表示することになります。
次に2.は、開発許可や建築確認等の事実上の付帯条件として地元民への優先分譲をすることを要請しているもので、当該物件の所在する行政区域内の住民に対して他の市町村の住民に優先して購入申込みができる資格を与えるものですから、これも「優先販売」ということができます。
なお、1.及び2.ともに、優先して購入申込みの資格を有する者に対して一定の申込み期間を定めて申込みを受け付け、期間内に申し込みがなかった住戸を一般の方に販売することになります。
問題は、3.の場合です。結論からいうとこれを「○○マンション友の会会員優先販売」ということはできません。
その理由は、1.及び2.とは異なり、最初の販売広告において、「○○マンション友の会会員募集」と称して購入見込み者の登録を促しており、登録者全員に対し購入申込み資格を付与するわけですから、そのマンションを購入したいと思う人は全員が登録者となります。そして登録者同士は全く平等に扱われることとなり、「優先販売」を受けられる人は誰もいないことになるからです。
このように、売主等が特定の物件の販売に際し、購入申込みを行うまでの手続又は条件(単一条件であるか複数条件であるかを問わない。)を定めて、これに該当する者にだけ購入申込み資格を付与し、この者たちの中から取引の相手方を決定するという販売方法を採る場合には、この方法で販売しようとする物件の広告においては、購入申込み資格を得るための条件を明示して、購入を検討したいと思う一般消費者の誰もがその手続を踏むことができる機会を与えなければなりません。
なお、最初に行った予告広告の段階では、そのような販売方法を採るつもりはなく、その後にこの方法を採用しようとする場合は、その決定をした後の広告(予告広告または本広告)において、購入申込み資格付与という販売方法(購入申込者を段階的に絞り込んでゆく方法)の内容を「購入申込み手順」等として詳しく、かつ、分かり易く説明する必要があると考えられます。
借地借家法第22条の規定による一般定期借地権について、消費者に正しく理解してもらうには、少なくとも次の事項を表示する必要があると考えられます。
なお、3.の権利金等及び4.の保証金等の額については、価格の表示に続けて明示する必要があります。
【一般定期借地権付き新築住宅の表示例】
◆建物価格/2,500万円
◆借地の権利金/200万円(借地権設定対価)
◆保証金/300万円
【土地の権利形態等】
一般定期借地権(賃借権)、存続期間/50年、期間満了時に更地返還要。建物の買取り請求、契約更新及び改築等による期間延長不可。地代/月額○○円(3年ごとに改定)。権利金は借地権設定対価であり返還されません。保証金は期間満了時に全額返還(無利息)。借地権の譲渡・転貸/可。ただし地主の承諾要(承諾料不要)。借地権設定登記/可。
また、分譲マンションの場合も上記新築住宅の場合と同様の事項を表示すればよく、通常の所有権の場合に必要な表示事項を記載した上で定期借地権特有の事項を表示すればよいでしょう。
なお、定期借地権付き物件は所有権に比べ「有利」とか「安い」等の表示をすると、不当表示となるおそれがありますのでご注意ください。
チラシ広告において、売地の土地面積を実際には、103.21m2であるのに「130.21m2」と誤って表示されていたため、直ちに新聞への折り込みを中止するよう手配したのですが、折り込み予定枚数5万枚のうち約20%(約1万枚)については、回収は不可能ということでした。どのように対処したらよいでしょうか。
この誤った表示は、土地面積について、実際のものよりも広いと誤認される不当表示に該当しますので、これをそのまま放置せず、その誤認を排除するために訂正広告を行うことが必要です。なお、その顛末については最寄りの不動産公正取引協議会に報告することも併せて行ってください。
実施いただく訂正広告は、次の条件をすべて満たしている必要があります。
なお、訂正広告の内容及びその方法が適切でないとき、例えば、新聞折込チラシ等の下部に申し訳程度に小さく訂正広告をしているケースや、訂正内容についても抽象的に「広告表示の内容に一部誤りがありました」等と、具体的な内容が明らかになっていない場合には、訂正広告を実施したとは認められず、消費者の誤認が排除されたとは認められませんので、訂正広告の大きさや配置及び内容等に充分配慮する必要があります。