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不動産広告の相談事例(表示規約)

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予告広告・シリーズ広告

1総戸数100戸の新築分譲マンションにおいて、第一期として20戸販売し、その10戸が契約となりました。第二期の予告広告をしたいのですが、販売戸数は決まっておりません。その際、予告広告に表示する概要は、第一期の残戸数10戸を含めて販売戸数90戸で表示してよいのでしょうか?

第二期の予告広告に第一期の未成約住戸数(10戸)を含めることはできません。

予告広告とは、価格や賃料が確定していないため、直ちに取引できない物件(販売戸数等が2以上)について行う広告表示です。既に価格が確定し販売した第一期の残住戸については、予告広告を実施することはできません。

したがって、第二期の予告広告に記載する物件概要は、販売戸数が決まっていない場合には、第一期で販売した20戸を除いた80戸を基に作成する必要があります。

この場合、「販売戸数が未定である旨」、「物件の取引内容や条件は第一期販売済みの20戸を除く80戸を基にしている旨」、「第二期の販売戸数は本広告においてお知らせする旨」等を表示する必要があります。

2予告広告を行った後、本広告を行う前に販売することはできますか?

予告広告とは、「本広告(表示規約第8条に規定する必要な表示事項をすべて表示して物件の取引の申込みを勧誘するための広告表示をいう。)に先立ち、その取引開始時期をあらかじめ告知する広告表示」をいい(表示規約第4条第6項第3号)、本広告をすることを前提として表示規約第8条で定める 必要な表示事項の一部の表示の省略を認めているものです。

したがって、本広告前に売買契約等を行った場合は、その予告広告は表示規約第8条の規定に違反することになりますので、本広告を行わずに販売することはできません。

3予告広告で来場した方に対して「会員限定分譲」と称したダイレクトメールを送り、本広告前に販売することはできますか?

表示規約では、予告広告は「・・・・価格等が確定していないため、直ちに取引することができない物件について、その本広告に先立ち、その取引開始時期をあらかじめ告知する広告表示をいう。」と規定(表示規約第4条第6項第3号)し、第8条に規定する必要な表示事項のうち、例えば、新築分譲マンションの場合は、価格、販売戸数、管理費等の一部の事項を省略できる代わりに、

  1. 予告広告である旨
  2. 価格が未定である旨又は予定最低価格、予定最高価格及び予定最多価格帯
  3. 販売予定時期
  4. 本広告を行い取引を開始するまでは、契約又は予約の申込みに一切応じない旨及び申込みの順位の確保に関する措置を講じない旨
  5. 予告広告をする時点において、販売区画及び販売戸数が確定していない場合はその旨、物件の取引内容及び取引条件は全ての予定販売区画・予定販売戸数を基に表示している旨及びその区画数又は戸数、当該予告広告以降に行う本広告において販売戸数を明示する旨

を記載するよう定めています(表示規約施行規則第5条第1項、2項)。

すなわち、予告広告を行った後、本広告を行うまでは、契約又は予約の申込み及び申込みの順位の確保につながることはできないことになっています。

したがって、本広告を実施する前に来場者に対して「○○マンション倶楽部会員限定分譲のお知らせ○月○日から先着順登録開始」等と記載したDM(ダイレクトメール)を送り、販売を開始することはこの規定に違反することになります。

たとえ反響が多くあったとしても、お尋ねのような広告はできませんので、必ず本広告を行ってから販売するようにしてください。

4予告広告で表示した販売戸数を本広告で減らすことはできますか?

予告広告で表示した販売戸数や募集戸数を本広告でどうしても減らしたいといった変更が生じる場合には、訂正広告をする必要があります。

本広告で販売戸数等を少なくするとのことですから、実際には、予告広告の内容は不当表示となりますが、広告主自らが変更した内容について訂正広告を実施することは不当表示による消費者の誤認排除につながるものである一方、変更した内容を告知せず、そのまま販売した場合には、予告広告における不当表示を放置するだけでなく、消費者とのトラブルになるおそれがありますので、訂正広告を実施することが必要であると考えられます。

表示規約第24条では、「表示の修正・取りやめ及び取引の変更等の公示」として、第1項において、「事業者は、継続して物件に関する広告その他の表示をする場合において、当該広告その他の表示の内容に変更があったときは、速やかに修正し、又はその表示を取りやめなければならない。」及び第2項において、「事業者は、物件に関する広告その他の表示を行った後、やむを得ない事情により当該表示に係る物件の取引を変更し、延期し又は中止したときは、速やかにその旨を公示しなければならない。」と規定し、広告表示の内容に変更等が生じた場合には、訂正広告等を行うよう定めています。

訂正広告を行う場合には、原則として、予告広告を行った同一媒体で行う必要があり、訂正広告以外でも、現地販売事務所において訂正の掲示を行ったり、顧客からの問い合わせ等に対しては十分に説明することのほか、物件のホームページ等を開設している場合には、ホームページでも訂正広告を行ったほうがよいでしょう。

なお、販売戸数等だけでなく、専有面積の最小・最大面積や予定価格(賃料)及び予定最多価格(賃料)帯の表示をしていた場合には、その数値が変更となる可能性がありますので、変更となるすべての事項について訂正広告を実施するようにしてください。

もう一つご注意いただきたいことは、訂正広告の内容及びその方法です。

よく新聞折込チラシ等の下部に申し訳け程度に小さく訂正広告をしている例や、内容についても抽象的に「広告表示の内容に一部誤りがありました。」等と記載するだけで、具体的な内容が明らかになっていない場合が見受けられますが、このような表示方法では、訂正広告を実施したこととは認められませんので、訂正広告を行う場合には、その大きさや配置及び内容等に配慮して行うようにしてください。

最近の傾向として、予告広告で消費者の反響をみてから価格や賃料、販売戸数等を調整するという手法として予告広告を捉えているフシが見受けられますが、本来、予告広告は、消費者に対し価格や賃料もしくは販売戸数等以外の事項(交通の利便、規模、形質、環境等)をあらかじめ告知し、消費者に物件選択の時間的余裕を与え、事前に検討、理解をしてもらった後、価格や賃料もしくは販売戸数等が明示された本広告によって最終的な物件選択の判断をしてもらうという趣旨で規定されたものですから、実際には、価格や賃料、販売戸数等の取引条件が確定しているのに、本広告を行わずにあえて予告広告を行うことは、予告広告の趣旨ではありません。

安易な販売計画の変更は消費者の不動産業界に対する信頼を失うことになる可能性があり、また、訂正広告を実施すれば、予告広告の内容を自由に変更できるというわけではありませんので、広告をする場合には、慎重に販売計画を立ててから行うようにしてください。

5DM(ダイレクトメール)による予告広告と本広告の取り扱いを教えてください

表示規約第8条では、表示規約施行規則第2条で定める「新聞・雑誌広告」、「新聞折込チラシ等」、「パンフレット等」及び「インターネット広告」の4つの媒体を用いて広告する場合には、価格を含む必要な表示事項(物件概要等)を記載することを義務付けていますが、「分譲宅地」、「新築分譲住宅」、「新築分譲マンション又は一棟リノベーションマンション」、「新築賃貸マンション又は新築賃貸アパート」については、必要な表示事項の規制の特例として、一般消費者に物件選択の時間的余裕を与えるため、価格や賃料が確定する前であっても価格等の取引条件以外の物件の内容について広告できる手法として「予告広告」(表示規約第9条)が認められています。

予告広告は、必要な表示事項のうち価格等、一部の事項を省略することができますが、取引を開始する前までに、必要な表示事項をすべて充たした「本広告」を予告広告を行った媒体と同一の媒体若しくはインターネット広告のいずれかの方法により行う必要があります。

ご質問の広告媒体は「DM(ダイレクトメール)」なので、DMは必要な表示事項の表示が義務付けられていない媒体ですから、「本広告」を行わなくても表示規約に違反するものではありません。
ただし、本広告に相当する具体的な物件情報をみることができる媒体の紹介(「詳細は当物件ホームページ(http://******)をご覧ください」)などの記載は必要と思われます。

6本広告前に販売センターで「価格発表会」を開催する旨を表示した予告広告を行うことはできますか?

結論からいいますと、お尋ねのような広告は行うことができません。

予告広告は、売り手側の事情で価格を決定しかねている場合でも、物件の内容等についてあらかじめ情報を提供し、一般消費者にゆっくり検討してもらうために、本広告で価格等を明示することを前提として認められた広告手法です。

お尋ねの広告は、一般消費者にとって最も重要な情報の一つである価格を示さないまま一般消費者の期待感をあおって販売センター等への来場をうながすための一種の『あおり広告』をしてもよいかということと同じです。
予告広告の趣旨は、売り手側の事情で価格決定が遅れた場合、発売直前にならないと広告が行われないことが多く、一般消費者は広告情報に接してから極めて短期間に購入するかどうかの判断をしなければならない状況に置かれることを回避し、一般消費者に物件選択の時間的余裕を与えるために、価格その他の取引条件以外の物件内容に関する情報を提供できる途を開いたものです。

したがって、お尋ねのような『あおり広告』で集客することは、結果として本広告前に来場した顧客に申込み順位を確保するなど事実上の販売行為が行われるおそれがあり、予告広告の趣旨に反するだけでなく、本広告を行わない結果となる可能性が極めて高いと考えられます。予告広告の名を借りたこのような『あおり広告』は、 必要な表示事項の規定の特例を定めた予告広告には該当せず、当該広告は価格を記載していない違反広告になります。