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不動産広告の相談事例(表示規約)

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特定事項の明示義務

1再建築できない物件、傾斜地がある物件、高圧線下の物件、地形が悪い物件などの表示方法について教えてください

都市計画法や建築基準法その他の法令によって宅地の造成や建物の建築又は再建築が制限されている物件、あるいは物理的な欠陥がある物件は、通常、他の欠点のない物件に比べ価格が安いため、この欠陥を表示しないときは「安くて、良い物件」であるという誤認を消費者に与え、物件の品質内容について実際のものよりも優良であるという誤認を一般消費者に与える不当表示となります。
当協議会で開催している表示規約違反に対する事情聴取会の案件の中にも、これらの欠陥を表示していない事例が多く見受けられ、違約金課徴等の措置を受けています。
表示規約第13条において、「事業者は、一般消費者が通常予期することができない物件の地勢、形質、立地、環境等に関する事項又は取引の相手方に著しく不利な取引条件であって、表示規約施行規則8条で定める事項については、それぞれその定めるところにより、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明りょうに表示」するよう義務付け、これを表示していないものに対しては表示規約第23条各号中に該当する不当表示として取り扱うこととしています。

1 再建築ができない物件(道路に適法に接していない土地)【施行規則第7条第4号、第5号】

建築基準法42条に規定する道路に2m以上接していない土地及び同法40条に基づく地方公共団体の条例により付加された敷地の形態(いわゆる敷地延長)に対する制限に適合しない土地には、建物の建築が禁止されています。
このような土地については「建築不可」と、中古住宅等の場合は「再建築不可」と明示しなければなりません。ときどき、「不適合接道」、「道路位置指定なし」等といった表示が見受けられますが、これでは明示したとは認められません。

2 路地状部分で道路に接する土地【施行規則第7条第8号】

路地状(敷地延長)部分のみで道路に接する土地(下図参照)であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30%以上を占めるときは、路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示しなければなりません。

例示:「土地/148.92m2(路地状部分59m2含む)」又は「土地/148.92㎡(路地状部分39.6%含む)」

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3 セットバックを要する土地【施行規則第7条第2号】

建築基準法第42条第2項で規定する道路に接する物件については、建物を建築又は再建築する場合には、原則として道路の中心線から2m後退(セットバック)しなければならないと規定されています。このため、『みなし道路(2項道路)』に接する物件については、セットバックを要する旨を明示することとしています。
さらに、セットバックを要する部分の面積が土地面積(正味面積)のおおむね10%以上となる場合は、セットバックを要する旨と併せてそのおおむねの面積も表示しなければなりません。

例示:「土地100.55m2(セットバック12m2要)」

4 高圧線下の物件【施行規則第7条第12号】

土地の全部又は一部が高圧線下にあるときは、その旨とおおむねの面積を明示しなければなりません。また、建物その他の工作物の建築が禁止されているときは、その旨も併せて明示しなければなりません(前述の「路地状」と後述の「傾斜地」の規定には、30%という、土地面積に対する割合を定めていますが、高圧線下には数値規定はありませんのでご注意ください)。
なお、高圧線下の土地には「地役権」が設定されていることが多くありますが、「地役権設定有」等の表示をもって高圧線下である旨を広告に明示したことにはなりません。以下の例示を参照ください。

例示:「土地180m2(約30m2は高圧線下。高圧線下部分は建物等の建築不可)」

5 傾斜地を含む土地【施行規則第7条第9号】

傾斜地を含む土地であって、傾斜地の割合が当該土地面積のおおむね30%以上を占める場合(マンション及び別荘地等を除く。)は、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を明示しなければなりません。
また、傾斜地の割合が30%以上であるか否かにかかわらず、傾斜地を含むことにより、当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く。)は、その旨及び傾斜地の割合又は面積を明示しなければなりません。
ここでいう傾斜地には、擁壁や法地、敷地延長部分の階段も含まれますのでご注意ください。

時折、「法面30%含む。」、「法地100m2含む。」などと表示している場合がありますが、これらの表示では、一般消費者には当該土地に傾斜地が含まれていると理解できませんので、「傾斜地」又は「傾斜部分」等と表示してください。

なお、どの程度の傾斜度のものを傾斜地というかについては特に規定をしておりませんが、建物を建築する際に、特別の基礎工事が必要な場合など、現状のままではその土地の有効な利用が阻害されると認められる程度のものが該当します。

例示:「土地/135.55m2(傾斜地約50m2含む)」又は「土地/135.55㎡(傾斜地約36.8%含む)」

6 著しい不整形地等(施行規則第7条第10号)

土地の有効な利用が阻害される著しい不整形画地、区画の地盤面が二段以上に分かれている等の著しく特異な地勢の土地については、その旨を明示しなければなりません。
過去に当協議会で措置を講じた不整形地の主な事例は以下のとおりです。

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例示:「土地/200m2 ※この土地は2段宅地(120m2と80m2部分・高低差約3m)です。」
「土地/100m2(この土地の形状は三角形です)」

なお、不整形地等が著しいか否かは、その旨が明示されていないことにより、当該土地が整形地であって土地の有効利用が阻害されないものであると一般消費者が誤認するかどうかで判断されます。

7 計画道路の区域内の土地(施行規則第7条第3号)

道路法第18条第1項の規定により道路区域が決定され、又は都市計画法第20条第1項の告示が行われた都市計画道路等の区域にかかる土地については、建物等の建築が制限されているため、道路予定地内にある旨を「都市計画道路区域内」、「この土地は都市計画道路にかかっています。」等と明示しなければなりません。

2市街化調整区域に所在する土地を広告する場合の注意点を教えてください

市街化調整区域とは、都市計画法第7条第3項において「市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。」と規定され、原則、この区域内では宅地の造成や建物の建築が禁止されています。したがって、市街化調整区域内の物件を広告する場合には、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と16ポイント以上の文字で明示することと規定しています(16ポイントは、1辺の長さが約5.6ミリメートル)。

なお、市街化調整区域内の土地であっても、実際には、自己が居住するための建築物を建築する目的で行う開発行為であって、各自治体の条例等に基づく開発許可等の条件を満たす場合には、例外的に建物の建築が可能となる場合があります。例えば、X市又はX市に隣接する市町村の市街化調整区域に20年以上居住する親族を有する者が、自己居住用住宅を建築する等の開発許可の条件を満たす場合や、Y市に10年以上居住したことがある者が、自己居住用住宅を建築する場合などです。
このような土地を広告する場合に「市街化調整区域。10年特例適用物件」、「※34-12適合」等と表示しているケースが見受けられますが、これだけの表示では、特段の制限がなく建物の建築ができるかのように思ってしまうことを打ち消していることにはなりませんから、不当表示として取り扱われます。
したがって、その場合には、市街化調整区域である旨及び原則として建物の建築ができない旨を表示した上で、例外的に建物を建築することができる条件があれば、これを明りょうに、わかりやすく表示する必要があります。